柏崎刈羽原発から放出された放射能と甲状腺

投稿日時 2007-10-13 04:09:43 | カテゴリ: バセドウお役立ち情報

柏崎刈羽原子力発電所で起きた地震による事故では、いくつかの放射性物質が大気中に漏れ出ました。その放射性物質の1つがヨウ素131。いわゆるアイソトープに使われる放射性ヨードです。

今回の事故に関する詳しい解説と、将来に起こる事故の際に必要となる行動についてご紹介します。
ところでアイソトープって?

まずはアイソトープについて振り返ってみましょう。
アイソトープと呼ばれる治療法は、ヨウ素131のカプセルを服用するものです。

「なぜヨウ素131がバセドウ病治療になるのか」と言うと、本来、甲状腺は海草などから摂取した体内のヨウ素を集めておく働きを持っています。そのヨウ素から甲状腺ホルモンをつくるのです。

アイソトープでバセドウ病が治る仕組み

アイソトープは、その甲状腺の仕組みこと、甲状腺が普通のヨウ素と放射性ヨウ素の区別を出来ないことをうまく利用した治療法です。

患者に食事に含まれるヨウ素の摂取を禁止することにより、甲状腺にはカプセルから摂取した放射線ヨウ素が集まります。そして、その放射性ヨウ素、ヨウ素131が甲状腺細胞を小さくするのです。


さて、話は原発に戻ります。


上記はバセドウ患者がヨウ素131を服用した際に起こる現象の説明ですが、当然のように、原発事故では甲状腺疾患とは何ら関わりの無い健康な人にまでヨウ素131が摂取されることになります。ヨウ素131は呼吸により摂取されるのです。

原発で事故が起こると・・・

バセドウ病の治療で、アイソトープにより低下症となってしまうことがあるように、健康な人の状腺にヨウ素131が吸収さらた場合、将来、低下症や甲状腺腫瘍、甲状腺ガンとなる恐れがあります。

ヨウ素131自体の効果は8日に半分の割合で半分になっていくほどのものなのですが、幼児や子供の場合は、その吸収が大人よりも大きく、幼児では大人の100倍になることも。

子供の方がヨウ素を吸収しやすい理由は、おそらく、子供の成長にヨウ素が必要不可欠な栄養であることが起因しているのではないでしょうか。


何か対策はないの?


柏崎刈羽原発の事故では実際にヨウ素131が放出されてしまいましたが、事故の際に、これを体内に吸収しないようにする予防策があるそうです。

方法は単純です。アイソトープは食事によるヨードを摂取せず効果的に放射性ヨードを甲状腺にため込む方法だ、と冒頭で説明しましたが、事故の予防はこれの反対で、放射性ヨードが甲状腺に集まらないよう、あらかじめ食事に含まれるヨードを甲状腺にいれておきます。

使うのはヨウ素剤と呼ばれるもの。これもバセドウ病や低下症の治療の中で使われていたりします。
ヨウ素剤に含まれるヨウ素は、アイソトープに使う放射性ヨウ素とは違い、普通のヨウ素(安定ヨウ素)です。

原発近くの住民には、事故に備え、自治体の方でこのヨウ素剤が用意されています。
事故の前24時間に飲むと90%以上の抑制効果があり、事故後8時間以内でも効果は40%だそうです。


もっと身近な予防策は?


残念なことに、海草やうがい薬などの摂取では、こういった効果は望めないようです。事故の際は一刻も早いヨウ素剤の入手が必要となります。


もっと詳しいことが知りたい


実際のヨウ素剤の投与等、さらに詳しい情報は、(財)原子力安全研究協会による緊急被爆医療ネットワークで読むことが出来ます。


また、原発事故で放出されるの放射性物質はヨウ素131だけではありません。

今回、実際に放出されたコバルト60の情報については暮らし・柏崎刈羽原発から放出された放射能は安全か?中越沖地震をお読みください。



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